( ハンカチツリーの木 )
勇作は六年間、暗い刑務所で過した。
だがその間、勇作の心から離れなかったのは光枝の面影だけだった。
刑期を於える前、勇作は光枝に手紙を書いた。
( ハート型のハンカチツリーの葉 )
「俺はお前が他の良い男と再婚して幸せになっていることを望んでいる。
この手紙がつく頃、俺は夕張へ行くが、もしも、もしもだ、お前が今でも
独りで暮しているなら庭先の鯉のぽりの竿の先に黄色い布をつけておいて
くれ、その布を見たら俺は家に帰る。
でも布がなかったら、俺はそのまま夕張を去ってゆく」
刑期を終えた中年男が、行きずりの若いカップルとともに
妻のもとへ向かう姿を描いた“健さん”主演のロード・ムービー。
北海道網走。
夢だった新車を買って北海道をドライブする欽也は、
途中女の子をナンパし、ふたりで旅を続ける。
ある時、ひょんなことから出所したばかりの中年男・勇作と出会い
旅をともにすることに。
やがて、ふたりは勇作から“自分を待っていてくれるなら、
家の前に黄色いハンカチを下げておいてくれ”と妻と約束
したことを打ち明けられる……。
この作品は、日本映画界の至宝山田洋次監督の素晴らしい才能と、
“男”を代表する高倉健の素晴らしい素質の出会いであり、
他に倍賞千恵子と映画初出演の武田鉄矢(海援隊)桃井かおりが
新鮮な演技陣として競演。
鯉のぼりの柱に数えきれないほどの黄色いハンカチが風になびいている
「 幸せの黄色いハンカチ 」のラストシーンは涙せずにはいられない感動作。
弘前公園の植物園では白いハンカチが緑眩しい中、優しい風にゆらゆらと。
毎年ハンカチツリーを見上げると「 幸せの黄色いハンカチ 」のラストシーンを
思い出し、光枝さんの愛の深さと美しさに感動させられます。
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